■八重山広域圏がシンポ
新空港開港3年目を迎えた3月に八重山広域市町村圏事務組合主催による「八重山の資源を活かす」シンポジウムが開催され、永続的に地域を発展させる目的でさまざまな視点から有益な提言があった。基調講演に沖縄美ら島財団理事長の花城良廣氏、コーディネーターに元沖縄県副知事の与世田兼稔氏、パネリストに沖縄公庫理事長の譜久山當則氏、沖縄ツーリスト会長の東良和氏ら各界トップで活躍する八重山出身者が熱く郷土の未来を語った。
商品は地域独自のオリジナリティーと生産過程におけるストーリー性、事業としての持続力の中から世界に誇れる「オンリーワン」が生まれること、そのためには農林水産物の調査研究や生産、販売を連携させる戦略を策定することが肝要であるとした。
さらに観光客のニーズが体験交流型など幅広く、より深くなっていること、八重山観光は本島に比べ季節変動が大きく不安定であり、冬場の誘客対策が急務であると指摘。海外事例の中から韓国済州島の「オルレ」(通りから家に通じる狭い路地)というウオーキングやトレッキングが紹介され、冬場観光に即効性があるとした。資源の中には素朴で人情豊かな八重山の人材が含まれ、活用が重要であると結んだ。
■済州島オルレを紹介
とかくこの手のシンポジウムの多くは主催者側の自己満足にとどまり、提言の具体的な検討作業や事業化への取り組みなど事後のフォローがなされていないように見受けられる場合が多いが当局の積極的な取り組みに期待したい。
弱点の冬場シーズン対策に有効な誘客施設としてゴルフ場、水族館、5000人収容規模のMICE施設、魅力的な博物館・文化芸能施設建設などが提案されているが、実現には多額の費用と時間を必要としている。
オルレはリボンと矢印、カンセと呼ばれる馬の形をした標識を頼りに自然や歴史、文化を楽しみながら歩くウオーキング、トレッキングである。
歩道、駐車場、トイレの設置などが必要だが莫大(ばくだい)な費用がかかるわけではない。昨年11月に開催された済州島の国際オルレフェスティバルには1万2000人余の参加があったという。
九州でも国土交通省の肝いりで「九州オルレ」ブランドを立ち上げ、各県にコースを設定し、4年間で2万6000人余の誘客があったという。
■八重山独自のプランを
本島でもオルレではないが「那覇まちまーい」という街歩きツアーがあり、首里城をはじめとする世界遺産巡り、市場や壺屋巡り、久米や泊など中国文化やペリー上陸の歴史跡を訪ねるコースもあり面白い。
冬場の観光客は、熟年世代が中心で環境、健康、オンリーワンがキーワードといわれている。台湾や韓国でも同様に健康・スポーツ志向が高まっており個人やグループの旅行は街歩きの人気が高まっている。商工会、文化協会、観光交流協会等とタイアップして八重山ならではの自然、市場、商店街巡り、宮良殿内、蔵元、御嶽や井戸、ツンマーセなど歴史、文化、人情に触れる「島歩き」プランの実現が必要だ。