西表島で沖縄県の新しいマンゴーの奨励品種「てぃらら」が栽培されている。昨年、初めて収穫され、7月15日の「マンゴーの日」に合わせ、南ぬ島石垣空港で試食会を実施。観光客らにアンケートを取り、国内で沖縄県だけで生産される高級マンゴーとして今後の可能性を調査した。今年は、収穫2年目として収穫量の大幅な増加が期待され、高級マンゴーとして価格設定や、販売方法を含めたブランド確立が期待される。
てぃららは、県農業研究センターが2003年度にスタートしたトロピカルフルーツランド支援事業の一環として米国農務省からフロリダなどで生産されている18品種を導入。この中から県の環境特性に合った優良品種として「てぃらら」と「夏小紅」の2品種を選抜。10年度から導入が始まっている。
「てぃらら」は、品種名「バレンシアプライド」。糖度が約18度、酸度が0・2度と県内の主要品種「アーウィン」(13~16度)よりも糖度が高く、酸味もあり食味が良いのが特徴。果実は、長円形で、重さは620㌘とアーウィン(400~450㌘)よりも大きい。果皮は黄色で、上部にほんのりと赤色がかかり上品な色合いだ。
名称の「てぃらら」は、「てぃだ」(太陽)を浴びたマンゴーを食べて楽しい気持ちになってもらえるようにと命名され、県が12年6月に商標登録した。
竹富町園芸作物等産地協議会(会長・野底忠町農林水産課長)が昨年7月に同空港で実施した試食会では、収穫されたてぃらら30㌔が試食用として観光客らに提供された。
試食した観光客のアンケート結果では、味に関しては74%が「満足」。「やや満足」の20%を加えると94%が好印象を持った。
アーウィンとの好みでも65%がてぃららと回答。1個当たりの価格では1500円を中心に1000~2000円が全体の91%を占め、約1割は2500円以上と回答した。
また、贈答用としては80%が「使いたい」との意思を示し、贈答用の高級マンゴーとして期待がふくらんだ。
県では、高級感を演出した専用の化粧箱も用意。今後の販売拡大に期待をかけている。
同協議会の野底課長は「色、味、形も非常にいい」と期待する。
西表では、現在、6人の農家が約80本を栽培。昨年は600㌔を収穫。今年はさらに収穫量が増える見込み。
このうち、西表島上原の農業生産法人㈱西表島フルーツ(川満洋一代表、3人)では、てぃらら40本、夏小紅5本を栽培。昨年から収穫が始まった。
同法人代表の川満氏は「糖度が高いのでおいしい」と味に太鼓判をおす。昨年は、営業用に20件のお客にてぃららを贈ったが、80%の人から「おいしい」「高級感がある」との高評価を受けたという。ただ、川満さんは、高級マンゴーとして売り出すためにも、アーウィンとどう差別化を図るのか、まだ、つかみきれていないという。
また、木の上で完熟させるアーウィンとは違い、てぃららは、木で完熟させると品質が悪化するため、10日ほど前に収穫し、追熟させる。出荷面では余裕が出るものの、着色前に収穫するため収穫時期や熟度、食べごろの見極めに難しい面もある。いよいよ今年から本格的な出荷が始まる「てぃらら」。県産の高級マンゴーとしてブランド化するためにも、専用の化粧箱での出荷など高級感を演出する取り組みとともに、アーウィンを上回るその味のPRが必要だろう。