国指定史跡フルスト原遺跡の崖下約3000平方㍍に、駐車場を備えた公園広場が、2015年度に整備されることになっている。市が一括交付金を活用した大浜地区歴史遺産活用事業として整備するもので、観光客ら来訪者のアクセス環境を改善するほか、フルスト原と周辺の井戸や御嶽を歴史遺産として活用する考え。地域からも「フルスト原遺跡の近くには駐車場が必要だ」との声が挙がっていた。
市教育委員会文化財課によると、フルスト原遺跡は標高25㍍の石灰岩丘陵上にあり、崖下の「カンドウ原」と呼ばれる場所には、600年前から利用されていたと考えられる降り井戸や大浜村の象徴だったとされる大底御嶽など貴重な歴史遺産もある。
今回の事業では、これらの遺産とフルスト原遺跡を連結した空間として駐車場や説明版、通路などを備えた公園を整備。﨑原公園内の津波石までのルートは散策路として活用したい考え。事業費は4125万円。
現在、フルスト原遺跡の崖下には、国指定を記念したコンクリート柱と説明版があり、崖下から遺跡にアクセスするルートもあるが、樹木や雑草に覆われている。
近くの住民によると、カーナビゲーションの案内で崖下を訪れ、説明版隣にあるトンネル壕(ごう)を遺跡と勘違いして中に入っていく観光客もいるという。
市は公園整備に併せ、樹木を伐採して通路を確保、ロープを付けるなどの対応を取る。通路は遺跡内となっているため、階段など工作物を設ける場合は文化庁などとの調整が必要なため、本格的なアクセス路の整備は16年度以降になる見通しだ。
大浜公民館の大島克博館長は「公園整備の話は具体的には聞いていないが、ぜひ必要。地域としては喜ばしい。観光バスが公民館前に駐車しているが、そこからフルスト原遺跡までは遠い。遺跡の近くに駐車場が必要だ」と話している。