特定非営利活動法人石垣市民ラボ(江川美津恵理事長)主催の講演会「福島第1原発事故から学ぶ~万一の台湾原発事故にどう備えるか~」が21日夜、石垣市民会館中ホールで開かれた。講演会では京都大学原子炉研究所助教の小出裕章氏が講師を務め、福島第1原発事故と放射性物質の放出状況や台湾の原発事情、建設中の台湾第4原発で事故が発生した場合の被害推計を紹介し、来場した大勢の市民が小出氏の講話に聞き入った。
小出氏は京大原子炉研究所にある放射線管理区域の規制の厳しさを紹介し「福島の原発事故では東北関東地方の膨大な範囲を放射線管理区域にしなければならないほどの汚染を受けた」と説明。
同様の事故が発生した場合、半径250㌔圏内に汚染が広がることを紹介した上で、「世界でも類をみない巨大な台湾第4原発(建設中)から石垣島は250㌔圏内に入っている。放射能雲が石垣島の方角に流れてきたら石垣島も放射線管理区域に指定しなければならないほどの汚染となる」と指摘した。
風向き次第では事故発生から1時間9分で石垣島地方に放射能雲が到達し、避難しなかった場合は5年後に先島地区全体で1万3800人が被爆によるがんで死亡する試算結果を紹介した。
事故への備えについて小出氏は「備え方は分からない。事故が起きてしまえばどうしようもないため、原発を動かさないことが唯一の方法だ」と述べ、脱原発を強調した。
会場は満席になるほど大勢の市民が来場。福島原発から大気中に放出された放射性物質の量に驚いた様子で小出氏の講演に熱心に聴き入っていた。
講演会を主催した石垣市民ラボは東日本大震災以降、主に市民から依頼された食品の放射線量の測定を行い、その結果を発信している。