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Channel: 八重山毎日新聞社
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石垣はこの先どうなる?

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■新空港開港で経済に勢い

 昨年から今年にかけて石垣市には大手のコンビニや量販店の参入がさらに相次ぎ、市民の間に「このまちはこの先どうなるのか。よくなるのか悪くなるのか」期待と不安が交錯している。

 市内では既にコンビニはココストアが20店舗余を展開。スーパーも全国展開のマックスバリュやサンエー、かねひでが参入し、ファストフード店は各業態がほぼそろい踏み、総合衣料大手のしまむらも進出している。

 そこに新たにコンビニ業界3位のファミリーマートとしまむら系列の子ども用品専門店バースデイが新規オープンし、今夏には家電量販店のエディオン、子ども用品専門店の西松屋、若い男女をターゲットにした同じくしまむら系列のカジュアルブランド店「アベイル石垣」もオープンする。

 この他にも本土資本によるリゾートマンションや系列ホテルなどが次々建設されており、人口5万人足らずのこの島になぜこのように、しかも競合のリスクも承知で投資するかだ。それは一昨年の新空港開港で観光客が74万人から一気に112万人超に増えて石垣市は経済に勢いがあり、十分に採算が取れると判断したのだろう。

■ザル経済と非正規雇用の町

 いわばこれは石垣市が、新空港開港効果で将来的にも人・カネ・モノを十分引き寄せられる魅力ある町になったということだろう。

 これにより各種商品が安く買えるし雇用も増えて市民にはますます石垣市経済の活性化に期待がかかる。しかし一方でこれらの新規参入を手放しで喜んでいいものかどうかの懸念もある。

 それは地元の類似のブティックや子ども用品店、家電店などが安くて品ぞろえ豊富な量販店に淘汰(とうた)され、さらに既存コンビニに納品する地元の総菜店などに打撃となる恐れもあるからだ。

 加えて沖縄は県全体がそういわれるが、八重山も売り上げは人件費以外は地元で循環せず、原材料費や利益などのすべてが島外や本土に流出する「ザル経済」の傾向がますます強まるということだ。さらに雇用も新たな雇用の場が増えることは歓迎すべきだが、問題はその大半が身分が不安定なパートなどの非正規雇用だろうということ。

■過去には反対運動も

 そこで石垣市がこの先どうなるかだが、かつてのスーパー参入後の小売店のように地元の類似の店舗が次々消滅。経済は観光消費額が昨年は653億円に増えるなど、かつてなく活性化したものの、その大半は大手ホテルもほとんどが外資だし、県外に還流する「ザル経済」と、そしてパートなどの「非正規雇用」にますます拍車がかかる町になりかねないということだ。

 それを市民も安いからと容易に受け入れ、行政も議会も「市場経済だからやむなし」と容認するのだろうか。

 かつて八重山でも1972年の本土復帰直後、スーパーやホテルなど本土資本の進出に反対運動が相次いだが、今は各分野に無秩序・無防備に本土や島外資本の参入が続いている。いかに地元業者を守り、ザル経済からどう脱却し、そして若者らの雇用の質を高めるか、真の地域活性化へ行政や議会の真価と市民意識が問われている。


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