4年たてば100分の1。これは日本赤十字社に寄せられた東日本大震災の被災者支援義援金の額だ。震災発生の年の義援金は3千億円超だったが、2014年度には約29億円にまで減ったという▼あす11日は、東日本大震災が起きた日。全国各地で追悼行事が行われる。もちろん石垣市でも、亡くなった人々に哀悼をささげ、励ます祈りの行事があり、あの悲しみと被災者支援の心を再確認したい▼昨年ごろから、テレビを見ながら「えっ?」と思うときがある。福島第一原発の汚染問題で、作業員に沖縄出身とみられる姓があったからだ。確かに沖縄は、以前から季節工として本土に出稼ぎに行く人も少なくない▼東北は巨額の復興予算が投入され、整備ラッシュだ。バブル状態に近いと言われ、沖縄から働きに出かける人も。被爆を覚悟して、高額給与の原発作業員に手を挙げる人もいるかもしれない▼時の流れは怖い。あれだけ問題視された原発が、各地で再稼働しようとしている。電力不足の問題は分かるが、いったん事故を起こした原発は、事態収拾に巨費と歳月がかかることを誰もが痛感している▼福島第一原発は、4年たった今もメルトダウンなどの詳しい状況は分からない。廃炉まで40~50年かかると聞く。漠然とした「大丈夫」論ほど信用できない。(黒島安隆)
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