【与那国】南牧場で陸上沿岸監視部隊基地建設の敷地造成工事を進めている沖縄防衛局が昨年11月に敷地内を通る町道に代わる道路の整備を開始し、アスファルト舗装を終えるなど工事をほぼ完了させていたことが24日、町への取材で分かった。町は当初、工事に支障を与えるとして町道の廃止を予定していたが、昨年10月の町議会で野党の多数で否決されたため、議会の同意を必要とせず、事務手続きで町道の区域の変更が可能な代替道路の整備に転換した。手続きが完了すれば、基地建設は順調に進む見通し。町道廃止反対を、基地建設阻止の手段の一つとしていた反対派にとっては大きな痛手となりそうだ。
延長670.1㍍の町道は建設予定地のほぼ中央を南北に縦断しているが、代替道路は南牧場の海側の起点から敷地を東側に迂回(うかい)する形で整備された。延長は約670㍍。
住民投票で基地建設に反対するグループの代表を務めていた上地国生氏は「町民に何の説明もないまま代替道路を造るのはいかがなものか。既成事実をもって工事を推し進めるのは許されることではない」と怒りをあらわにする。
町道を廃止する議案に反対した野党の崎元敏男町議は「工事車両の搬入口と思っていたが、代替道路だったことに驚いている。事前に周知や説明があるべきではないのか。まるでだまし討ちだ」と語気を荒らげた。
これに対し、外間守吉町長は「町道の起点と終点を変えなければ廃止ではなく代替道路で対応でき、議会にかける必要はない。住民投票の結果も出たので事務的な段階で手続きができる」と述べ、近く手続きを行う考えを示した。
野党側は、駐屯施設に水道を引き込む簡易水道事業の給水施設整備費が町議会の承認を必要とすることから、議会に上程された場合には今後も反対していく構え。