盗難に遭って防御策を考えるのは人の常。張り紙で警告したり、盗まれないよう柵を巡らすなどで対処しているのを見かける▼過日、畑のバナナ盗難に遭ったわが家でも残ったバナナをどう守るか対策を練った。収穫するにはまだ青すぎる。せめて、もうひと月程度は、そのままにしておきたい▼そこで実が見えないように側のバナナの葉をかき寄せ目隠しにした。おかげで通りの人目を避けることができた。ところが皮肉にも通り越しにバナナを観測していたわが家側からも完全に見えなくなってしまった▼これまでは、畑へ回らなくても実が手に取るように見えていたのが、見えなくなったので、ひょっとして、すでに無くなっているのではないかと心配になり気苦労が増えてしまった。毎朝畑に通い、葉をめくり確かめてホッとする日の連続。見えないということがこうも人心を不安にすることがよく分かった▼東北の原発事故以来、国民は見えない放射能に脅かされている。与那国では、見えない敵(仮想国はあるらしい)に備えてレーダー基地を置き自衛隊を常駐させるという。そのレーダーの見えない電磁波が住民に健康被害を与えるかもしれないともいう▼見えない不安は人心を疲弊させ活力をそぐ。一日も早く住民の見えない不安が取り除かれますように。(仲間清隆)
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