暮れの風景で思い出すのが、やーぬまーる(家の周囲)の大掃除が終わると玄関や前の道に海岸から運んできた白い砂をまく習慣。「正月がきたー」という気持ちになったものだが最近では少なくなった▼年の瀬の日々は矢のごとし、いざ掃除をしようとしても何から手をつけよう、どのやり方が効率的かと考えるうちに押し迫った。取ってある紙袋や引き出物など、いつか使うかも、捨てるのはいつでもできるという思いから、モノが捨てられなくて困っている▼断捨離(だんしゃり)という言葉を聞いた。新しい片づけ方法なのかと思ったが、そうでもないみたいでモノへの執着を捨て、身の回りをキレイにするだけでなく、心もストレスから解放されてスッキリすることで、ヨガの思想に基づき作られた言葉だという▼「もったいない、まだ使える」というモノを軸とした考え方でなく「自分にふさわしいか」と問いかけることが必要で主役はモノではなく「自分」。モノと自分との関係性を軸に取捨選択する技術だという▼でも断捨離にも賛否両論あり「大切なものまで捨ててしまった」「捨てたはいいが再利用できるのがあったかも」と後悔の声も多いとか▼何かと忙しい年の瀬だが、せめて身の回りだけでも整理整頓し、すっきりとした気持ちで新しい年を迎えたい。(辻本順子)
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