南国沖縄は春の時節となった。日本一早い春の訪れを告げるきょうは立春。本島のやんばる路では、ヒカンザクラが咲き誇り、山々の里を薄紅色に染めている▼花や緑は、私たちの心をなごませ生活に潤いを与えてくれるが、今年は中東からの衝撃的なニュースによって打ち砕かれた。シリアとイラクの過激派「イスラム国」がフリージャーナリストの後藤健二さんを殺害。正義感に満ちた何の罪もない命が残虐非道なテロ組織によって奪われた▼この地球上に生きている人は、みな幸せになるために生まれてきたはずではないのか。同じ青い空の下、日々平和に暮らす人々の生活がある一方で、正常な感覚が失われ、想像を絶する理不尽さがまかり通る狂気な世界が存在する▼世界の指導者はどう考えるのだろうか。米科学誌は今年1月、地球最後の日までの残り時間を象徴的に示す「終末時計」の針を2分早め、残り3分とした▼理由として核兵器削減の停滞、地球温暖化の遅れを指摘し、各国の指導者に取り組みの強化を求めている。3年前には、中東の地域紛争での核兵器使用の可能性に警鐘を鳴らしたこともある▼世界で共通する最も大切にすべきものは何なのか。真の平和とひとりひとりの掛け替えのない命。後藤さんの無念の死を思いながら今ある命の貴さを考える。(鬚川修)
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