電気を動力源とする電気推進船(EV船)のグラスボート1隻が運航している川平湾で、石垣市は3月までに、急速充電装置を整備する予定だ。民間のグラスボート事業者が昨年4月、市の一括交付金の公募事業でEV船を導入、同年5月から運航を開始しているが、充電に最大4時間余を要する。市は、30分以内で充電が可能な急速充電装置を導入。充電時間を短縮することでEV船の稼働率を向上させ、EV船導入を促進したい考えだ。導入に対する補助についても今後、検討する。
同湾でEV船を運航している㈱川平マリンサービス(高嶺良晴代表取締役社長)によると、乗船する観光客からは▽振動が少なく静か▽臭いもなく船酔いをしないーなどと好評を得ている。ディーゼルエンジン船のようなクラッチ音もなく、EV船が海面を通過しても魚が逃げないという。
一方、海岸近くに設置されている受電装置からEV船までケーブルを引っ張って充電する作業に2~3人の人員を要するほか、フル充電には4時間余かかるなど、作業面や運用面で支障をきたしている。
市が導入する急速充電システムは、急速充電装置、充電用ケーブル、充電ケーブル用格納装置などを整備するもの。市観光文化課では「急速充電装置の導入で充電にかかる労力を減らし、充電のスピードを上げてEV船の稼働率を上げたい」としている。
高嶺代表は「急速充電装置だと、運航しながら随時充電できるだろう」との見通しを示した。
急速充電装置の導入後、市はEV船とディーゼル船の快適性、維持管理費などを比較検証し、川平湾でグラスボートを運航する事業者が船体やエンジンを更新する際の参考材料として提供する考え。EV船導入に対する補助についても今後、検討する。
川平湾は、国の名勝に指定され、西表石垣国立公園にも編入されているミシュラン・グリーンガイド・ジャポンの三ツ星の観光地。市は、持続可能な観光地づくりのモデル地区としてEV船の導入を促進している。