八重山に拠点を置きつつ、海外工場や販売を試みる事業所の話を聞くようになった。特徴的なのは、欧州市場にも視野を置いていること▼昨年の八重山観光入域者は110万人もの大台を記録した。めざましい増加で、街に元気が出た。ホテルも飲食店も活気づいている。ところが、人は大勢来るようになったものの、2泊3日の旅行形態は変わらない▼先日、竹富町のある観光事業者と雑談した。定期的に欧州の国々で八重山民謡を歌っている。三線を手にした営業活動らしい。理由を聞くと、「欧州の人々は長期間で滞在する。来島すると、1〜2週間はいる」という▼「向こうの人にとって、5分、10分で美しい海や山に行ける。それは考えられないこと」と胸を張る。自腹での欧州三線営業効果も、じわりと出ているよう▼クルーズ船が定期的に寄港するようになり、新空港の開港に伴って外国人旅行者が目につくようになった。しかしクルーズ船観光客を除く外国人観光客の多くが日本に在住し、格安航空会社(LCC)の運航で訪れている▼八重山は、外国から見るとまだ無名の島で、目的に直接訪れる外国人は極めて少ない。しかし取り組み次第で国際観光地となる可能性は大。西表島が世界遺産に指定されればチャンスは急浮上するし、業界はさまざまな手段で誘客を試みてほしい。(黒島安隆)
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