土地改良法の手続きが進められている国営石垣島土地改良事業は19日から石垣市役所などで事業計画の縦覧が行われており、順調にいけば来年2月下旬に計画が確定し、年度内に事業着手の見通しとなっている。沖縄総合事務局土地改良総合事務所石垣支所(當銘俊明支所長)によると、年度内にパイプライン敷設工事を2件発注し、15年度以降、順次工事を進めていく予定。県、市の国営関連事業を含め761億円の巨大プロジェクトが2015年から動きだす。
同事業は14年度から12年かけ、これまで整備された施設の改修を行うほか、大里以北の新規受益地区で送水路などを整備するもの。島内五つのダムを連結し、農業用水の総合運用を図る。受益面積は4338㌶(水田265㌶、畑4073㌶)。
国営事業で幹線水路を整備、農家の畑に排水・散水するかんがい施設は県や市などの国営関連事業で整備する。農家負担は更新、新規にかかわらず、石垣市が負担するため、かんがい排水事業はゼロ、区画整理事業が2~4%に軽減される。
事業費は国営で281億、関連事業で480億円を見込む。関連事業の実施の際にも受益農家の同意が必要になることから、市むらづくり課の半嶺重行課長は「農家の皆さんから賛同をいただき、国営事業の効果が出るようにしていきたい」と話し、當銘支所長も「国営と関連を並行して進めていく必要がある」としている。
計画書の縦覧手続きは来年1月26日まで。異議申し立てがなければ2月下旬には計画が確定。総合事務局は、15年度から事業が本格化するのに合わせ、石垣支所を事業所に格上げする予定。9000万円未満の契約業務を事業所に移管し、執行体制の強化を図る考えだ。
国営事業を申請した東田盛正申請人代表は「国営事業はありがたい事業。農業生産基盤の整備だけでなく、これを活用して農家も生産性を向上させなければならない。経営面での多様化も進んでおり、幅広く食糧の生産に取り組む必要がある」と話している。