2003年に国指定文化財となった波照間島の下田原(しもたばる)城跡は、用地取得で難航していた中心部の土地の一部が竹富町有地として登記される見通しとなり、公園整備に向けて一歩前進することになった。町教育委員会(慶田盛安三教育長)が、相続問題がネックとなっている老人クラブ会員8人の共有名義の土地4202平方㍍のうち、1人分の相続者から同意を取り付けた。年明けには所有権の移転手続きを進める考えだ。
城跡は波照間島北海岸の高さ約20㍍ほどの台地に15・16世紀ごろ築かれたとされる。東西約200㍍、南北約150㍍にわたる石垣が特徴で、物見台や井戸などの遺構も残っている。
町教委が1988年に文化庁に史跡指定を申請したが、土地所有者の死亡で相続人の同意取り付けに時間を要し、申請から15年後の03年3月に指定された。
町教委によると、史跡中心部の土地は、数十年前に老人クラブ会員8人が登記。数年前にクラブ側から町に無償譲渡の申し入れがあったが、相続問題で所有権の移転が進んでおらず、現在では少なくとも67人まで相続者が広がっている。
今回、町が移転登記を行う予定の土地は、当時の会員5人が共有する約2916平方㍍。町は会員1人の相続人6人から所有権の移転について同意を取り付けた。これにより、町が5分の1の所有権を得ることになる。他の土地についても順調に町有化が進めば、公園整備が可能となる。
同課の仲盛敦係長は「同様の手法で当時の老人クラブ会員1人ずつ、相続者の同意を取り付けて登記移転を進めていきたい」と話し、西原啓栄総務課長は「年度内にも2、3件の登記移転を行いたい」としている。