郡内の県農林水産関係機関が研究成果を発表する本年度の「八重山地域農林水産業成果発表会」(八重山地域農林水産業推進会議主催)が18日午後、県八重山合同庁舎2階大会議室で開かれ、6機関が七つのテーマに沿い研究成果を発表。サトウキビ品種「農林21号」の八重山への適応では、春植えと株出しを組み合わせることで高い生産性を示す結果が報告された。また、波照間で実施したイネヨトウの交信かく乱法による防除では「幼虫の密度を減らし、被害の拡大が抑えられた」とその効果が報告された。
農林21号は久米島での奨励品種。優れた多収性を示す一方、発芽性に難点がある品種。
久米島で発芽性を克服する対策が得られたことに加え、八重山でも近年の不作で多収品種の強い要望があることから、灌がい施設が整備されたほ場を中心とした適応拡大が検討された。
その結果、特に春植えで優れた風折抵抗性を示し、夏植え、株出しとも他品種なみの数値が出たことから「春植えと株出しを組み合わせることで高い生産性を示す」と報告され、欠株対策を行うことで収量が2割増しとなることも示された。
この結果から「灌がい施設が整備されたほ場で農林8号や農林15号の一部代替として100㌶程度の普及が見込める」とされ、その際に発芽性の悪さを考慮し、通常の1.5倍を目安に苗を多めに植えることなどの留意点が示された。農業研究センター石垣支所が発表した。
病害虫防除技術センターは「イネヨトウの交信かく乱法による防除技術の普及実証」について研究発表。波照間で雌の性フェロモンを注入したチューブを発生ほ場に張り巡らせ、雄の成虫の交信をかく乱することで交尾を阻害し「幼虫の密度を減らし、被害の拡大を防ぐことができた」と発表した。
ただ、雑草が繁茂したほ場では、期待された効果がなかったことから「雑草管理の徹底が必要」とした。
この他に、水産海洋技術センター石垣支所が「ヒレジャコの種苗生産技術開発」として、LEDを活用した稚貝の生存率向上への取り組みも紹介された。