県庁トップが去るにしては異様な離任式だった。庁舎内を県警や県職員が物々しく警戒する中、2期8年、県政運営に携わった仲井真弘多知事が9日退任した▼当初予定されていた1階県民ホールでの離任式は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する市民団体の抗議行動で急きょ、6階の知事応接室に変更された。記者も庁舎内移動を制限される中での取材だった▼離任式を終えた仲井真知事は、機動隊も控える厳戒態勢の中、「裏切り許さんぞ」「新基地建設反対」の怒号が飛び交い、緊迫したムードが漂う県庁舎をどのような思いで後にしたのだろうか▼自身が退任4日前に承認した辺野古埋め立て変更申請2件には、県民から「民意に背く」「印鑑の押し逃げ」などの批判が高まっている。これに仲井真知事は退任会見で「私が知事であらゆる責任を負っている。(承認は)誤っていない」と強気の発言に終始した▼果たしてそうだろうか。退任間近の知事が、重要な政策で次期県政の翁長雄志氏の意向とは正反対の判断を下し、どのような責任が持てるのだろうか。トップの身の処し方としては、立つ鳥跡を濁す結果になってはいないか▼政治家が;有終の美;を飾れるかは、公約を守ったか否かで決まる。離任式後の仲井真知事の後ろ姿が寂しくみえたのはなぜか。(鬚川修)
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