「物を捨てる」本の出版がめじろ押しの時代に全国各地の収集家を訪ね聞き書きした瀬川正仁著「集める人びと」がバジリコ㈱から発行された▼何でこんなものをと不思議がられるが集まってしまうと価値が生じるのもこの世界。びん、虫、おもちゃ、凧(たこ)、コイン、布などの他、倉庫まで持つようになった昭和の家電やパチンコ台、よくもそんな高価な品をと感心するしかないエジプト美術品▼収集が高じ個人博物館を造った人、保存維持がかなわず手放した人。中に石垣島にも住んだことのある大阪在住の凧収集家・小野喜象さんがいる。凧にひかれ国内はもとより世界の凧あげ大会に参加、求めた凧は数千点▼京都の美山町で合掌造りの民家を購入し自宅兼凧博物館を造ったものの維持できず、家屋敷を町に譲り、逸品の凧ともども石垣へ移住、白保にある飛騨高山から移築された合掌造りの古民家で展示を始めるも家主と折り合いがつかず閉鎖。行き場のなくなった凧は八重山博物館へ寄託されたが保管難を理由に返却され、今現在は、私たちが預かっている▼来年6月に石垣島で小野さんと友人の武田守弘さんの尽力で日本中の凧名人とアジアの凧名人が集う国際凧あげ大会が催される▼市の補助があればその折、世界の凧と八重山の凧展が開けるのだが。(仲間清隆)
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