郡内各地で行われた雨乞いのニンガイ(願い)が天に通じたのだろうか、先日久しぶりにまとまった雨が降った。でも水事情は好転とはいえず「雨もっと降らんかねー」というのがみんなの思い▼竹富町は約1カ月夜間断水が続いている。石垣市は9日間で解除されたが、制限給水は2011年8月以来約3年ぶりだった▼ひと昔前は台風被害などでたびたび断水に見舞われた。1993年には7月から翌年3月まで220日間少雨が続き、8~10時間の制限給水の記録も▼登野城にある井戸「アコーバルカー」の前を通ると「ご自由にお使いください」と張り紙され、近くの住民が電気ポンプでくみ上げた井戸水を利用する姿がみられた。管理する上地和浩さんも生活用水として使用し「必要な人にいつでも使ってほしい」と話す▼地名から名が付いたこの井戸は昔、登野城村のウキマシィヤー(請桝屋、上地家)の犬が掘り当てたという言い伝えからインヌカーとも呼ばれ、当初は自然のわき水を利用するウリカー(降り井戸)で干ばつにも枯れない水だという▼市内の井戸を災害時の水利用を兼ねた観光スポットとして再生させる「まちなか親水広場整備事業」が実施されていたがどうなっているのだろう。封印されている井戸はまだ多くあると思うし、復元する必要があるのでは。(辻本順子)
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