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町長は「拒否権」発動するな

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■28日に再議権行使か

 去る17日の臨時議会で与那国町議会(糸数健一議長)は、野党の3議員が提案した同町への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の民意を問う住民投票条例案を3対2の賛成多数で可決した。これに対し外間守吉町長は、中身を確認して疑義があれば再度議会審議を求める「再議に付すこともある」と、議決への拒否権を発動する構えをみせていたが、小さな島でさらに対立を深めるような強引な手法は避けるべきだ。堂々と可決を受け入れて住民投票を実施、民意を明確に示すべきだ。

 再議申し出は議決の通知を受けた10日以内となっており、今のところ外間町長は公式に態度を明確にしていないが、期限最終日の28日にも再議に付す予定と見られる。再議となれば可決には議長を含む出席議員3分の2以上の4人の賛成が必要であり、与野党3対3の同町議会では否決の公算が大きい。

 

■自衛隊配備、民意問うべき

 与那国では2009年に外間町長が自営隊配備を防衛省に要請して以降、島を二分した対立が続いている。その中で住民投票条例は12年9月議会に提案されたが、議長含む与党4、野党2の反対多数で否決された。

 しかし今年9月の議員選挙で野党が与党と同数の3対3の議席を確保。互いに譲り合った議長も、最終的に与党の糸数氏が受け入れ、野党多数で今回待望の住民投票条例案可決となった。

 これでようやく町民の民意を問う機会が実現するものと思ったら、町長が再議権の行使を示唆し、住民投票は一転不透明となった。

 この間防衛省は、昨年8月外間町長が3選されたのを受けて今年4月、駐屯地の造成工事に着手、15年度末の配備をめどに工事は着々進んでいる。

 町長が同条例を疑問視するのは「国防に関わる問題に義務教育の中学生を参加させてよいものか」ということがあるようだ。

 賛成派からも「工事も始まっているのになぜ今更。町長の3選で民意も出ている」と反発があるが、しかし町長選の結果はわずか47票差であり、とても民意を得たとは思えない。

 

■辺野古と同じ強権やめよ

 反対住民が住民投票を求めるのは、自衛隊配備に特化した住民一人一人の民意が明確にされないまま、さらに町が防衛省に沿岸監視レーダーの電磁波が人体に与える影響などに説明を求めたように、これまで防衛省から一度も説明会がないまま工事がどんどん進んでいくことへの反発と不信がある。

 確かに配備人数も150人と伝えられるが、今年8月に仲井真知事を訪ねた上尾秀樹陸自第15旅団長は、その2倍の約300人を配置すると発言しており、同自衛隊は今後さらに増強されて弾道ミサイルも配備されるのではと防衛省への不信感は強い。

 外間町長は6月議会で「自衛隊工事が始まり非常に活気が出てきた。誘致の是非判断は後世の歴史が決める」と自信を示したとされるが、それなら拒否権を行使せずに堂々と住民投票を受け入れ、防衛省にも電磁波の安全性など説明会を実施させるべきだ。

 防衛省と町は普天間飛行場の名護市辺野古移設と同じような強引な手法はやめ、もっと丁寧に対応すべきだ。


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