少雨傾向による水事情の悪化に伴い、石垣市は20日、上水道の夜間断水を開始した。北西部の簡易水道地区を除く島内と竹富島で午後11時から翌午前6時まで給水がストップ、市民生活や経済活動への影響が懸念される。市は「当分の間」としているが、21日からの週間天気によると、八重山地方の降水量は平年より少ない見込み。今後、まとまった雨が降らない場合、断水時間が拡大される可能性もある。市は今回のような渇水に備え、新たな水源の確保策を検討していく考えだ。
夜間断水は2011年8月以来3年ぶり。前回は、農水大臣の特例水利許可で底原ダムから取水して断水を解除した経緯があるが、今回は底原ダムの水位も下がっているため、前回のような措置が取れない状況となっている。
真栄里ダムの貯水量は20日午後5時現在、69万㌧で貯水率は37.7%に低下。貯水位は標高33.41㍍で、これが最低貯水位の29㍍に下がると、同ダムから取水ができなくなる。
最悪のケースだと、1月中旬にはダムが底をつくおそれがある。
一方、今後の水源確保について水道部は、国営土地改良事業に伴う五つのダムの総合運用を考慮しつつ、白水原水調整池の増設や地下水の取水拡大などについて検討する。
白水原水調整池は当初5基(1基6万㌧)が計画されたが、1基の整備にとどまっている。全体事業費が158億円と莫大(ばくだい)で、第三者機関の市公共事業評価監視委員会や市議会から財政運営の圧迫や水道料金の上昇を懸念して見直しを求める声が相次ぎ、市が先送りしてきた経緯がある。
中山義隆市長は20日、取材に対し、「地球温暖化による異常気象で、今後もこういう状況が起きることもあり得る。観光客が増え、水(営業用)の需要が増えており、今後、白水原水調整池の増設を含め、水源の確保をしっかり検討していく必要がある」と話した。