【那覇】任期満了に伴う第12回県知事選挙は16日投票が行われ、即日開票の結果、無所属・新人で前那覇市長の翁長雄志氏(64)が36万820票を獲得し、現職で3選を目指した仲井真弘多氏(75)に9万9744の差をつけて初当選した。翁長氏は最大の争点となった米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設で新基地建設阻止を掲げ、保革を乗り越えた訴えが功を奏した。今後は移設を推進する政府との対応が焦点となる。今回の県知事選の投票率は64.13%で前回の60.88%を3.25ポイント上回った。
県知事選は、那覇市議会の最大会派、自民党新風会(11人)と県政の革新勢力が翁長氏を支持。与党の公明党は自主投票を決め、従来の保守と革新といった対決構図が崩れ、保守勢力が分裂した中で選挙戦が展開された。
翁長氏は、普天間飛行場問題で「今や米軍基地は沖縄の経済発展の阻害要因だ。辺野古新基地建設には断固反対する」と訴えて選挙戦を展開。沖縄の未来に向けて保革を乗り越えたオール沖縄を主張し共産、社民両党と沖縄社会大衆党の票を固め公明党、自民党の支持層からも得票した。大票田の那覇市など無党派や浮動票の多い都市部でも若者から高齢者まで幅広い層の集票に成功。郡部を含む県内全域でも満遍なく得票し、事実上の一騎打ちで3選を目指した仲井真氏を破った。
仲井真氏は、世界一危険といわれている普天間基地の危険性除去を最優先に掲げ、早期解決に向けて辺野古移設推進を堅持。一方、産業分野などで2期8年の実績と、自民党本部から大臣や人気の高い政務官らが応援に入るなど、国との強いパイプを強調して「この流れを止めるな」と訴えたが、主張を浸透させきれなかった。
知事選では、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)が普天間問題の解決を県民投票でと訴えたが、6万9447票の得票に終わり、届かなかった。辺野古埋め立て承認の取り消しを訴えた元参院議員の喜納昌吉氏(66)は7821票にとどまった。
翁長雄志(おなが・たけし)1950年生まれ。那覇市出身。法政大学卒。85年那覇市議初当選(2期)、92年県議初当選(2期)2000年那覇市長初当選(4期14年)。