今回の県知事選では各候補者が、「子どもの貧困」対策を取り上げた。それはそれだけ状況が深刻化しているということだ。そのため各候補者は教育費の無料化、最低所得保障制度導入、法に基づく計画策定や基金創設などによる支援を公約した▼確かに全国で毎年、餓死や無理心中が相次ぎ、格差社会が容赦なく子どもを直撃している。今年9月、千葉でパート従業員の43歳の母が県営住宅の家賃を払いきれず、「一緒に死のう」と中学2年の娘を絞殺▼昨年5月には、大阪北区で28歳の母親と3歳の息子が餓死し、ミイラ化して発見される事件もあった。電気・ガスは止められ、口座には数十円しかなかったという▼子どもの貧困は親が困窮しているということだ。それだけに沖縄も、そういう悲劇がいつあっても不思議はない。それはひとり親の母子世帯などが全国平均の約2倍、さらに沖縄の労働者の約半数は低賃金の非正規労働者が占め、全国最悪だからだ▼各候補者は口をそろえて補助金の導入などで正規雇用への転換など「雇用の質」改善を強調する。しかしそのためには「経営者の質」の改善も必要だ▼未来を担う大切な宝を守るには政治の力が必要。国、県だけでなく、市町村もできうる対策に努力すべきだ。八重山ではそういう悲劇は見たくない。(上地義男)
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