「ボタンの掛け違い」。対処法を誤り、そのことが原因で後から不都合が生じたり、双方の間で食い違いが生じたりすることだ▼最近、よく似たような事態が起きている。石垣市の新火葬場建設や崎枝での不発弾保管庫建設の場所選定がいい例だ。火葬場は、建設検討委員会が「バラビ道の市有地が最適地」と答申。寝耳に水の同地区住民の反対に遭い、結局、場所選定をやり直した▼不発弾保管庫問題は、公民館の一部役員のみの承諾を得て進めたことで、地域住民が反発し、こじれた。いずれも最初に地域住民に十分な説明、理解がないまま場所を決め、進めようとしたことが原因だ▼人間は感情の動物。一度、感情を害すると、交渉ごとはなかなかうまくいかないもの。公共工事などでも、一部の土地が取得できないために工事の遅れや中断が起こり、揚げ句の果てにその部分だけが長期間、手付かずに残ることも▼そうなると、当事者だけではなく地域社会の不利益となる場合もあり、慎重な対処が必要だろう▼4日から石垣市の新庁舎建設基本計画策定に向けた地域意見交換会が始まった。市内5カ所で市民の率直な意見を聞き、今後の計画に反映させる。「現地」か「移転」の二者択一だが、いずれに決まっても、市民に納得いく説明が求められよう。(下野宏一)
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