■翁長氏先行、仲井真氏ら追う
16日投開票の県知事選は、10月30日の告示から1週間を迎え、早くも中盤戦に突入した。県内メディアの情勢調査では前那覇市長の翁長雄志氏(64)が先行、3選を目指す現職の仲井真弘多氏(75)がこれを追い、さらに元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)、元参院議員の喜納昌吉氏(66)が両氏を追う展開のようだが、それは選挙戦突入後の現時点でもほぼ同様の傾向のようだ。これがあと10日間の選挙戦でどう動き、どう変化してゆくか。
今回、経済対策や子育てなど主要政策は翁長、仲井真両氏とも相反する違いはなく、争点は明確に米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の是非だ。
前回は保革がともに「県外移設」を主張、争点にはならなかった。それが今回仲井真氏が前回の公約を覆して辺野古移設「容認」に転じ、これに前回は仲井真氏の選対本部長を務めた翁長氏が反発して新基地建設反対を掲げて立候補。さらに下地氏が「県民投票」、喜納氏が「承認撤回」を掲げ、4者4様の主張で最大の争点になった。
■人ごとでない基地問題
現に有権者の関心も、前回最も高かった「経済活性化」から「基地問題」に変化しているという。
それはオスプレイ配備反対や普天間飛行場の県外移設などオール沖縄の訴えが国からことごとく無視され、ついには県選出自民国会議員に次いで仲井真知事も辺野古容認に転じたことへの反発と不信。埋め立てで新基地が建設されると国有地として永遠に広大な基地が置かれることへの危機感が有権者の関心を高めたものとみられる。
確かに辺野古移設には今の沖縄問題が凝縮されており、そういう意味で今回の選挙は、沖縄挙げて基地の縮小を求める沖縄の民意を無視し続ける政府や公約破棄の自民党県連などに対し、あらためて県民意思を明確にするものだ。
ところで基地のない八重山は、どうしても基地問題に関心が薄くなりがちだが、同じ県民として八重山も基地問題を直視し共有すべきだろう。日米安保が日本の平和と安全に不可欠というなら、その負担は国民が等しく負うべきが、なぜ沖縄にだけ基地負担を押し付けるのか。そういう国の理不尽な差別に県民は断固抵抗があるべきだ。
八重山は米軍基地はないが、自衛隊配備が計画され、基地問題は人ごとでなくなった。平和な観光の島のリスクとなる軍事基地を認めるべきでない。
■八重山版マニフェスト
前回に続き今回も八重山向け政策が翁長、仲井真両陣営から発表された。政策集から離島振興に関する項目を抜粋したものだが、これをどう有権者にアピールするかが得票に大きく影響、有権者も大きな判断材料になる。
最近の知事選は革新の大田昌秀氏が2期務めて以降は保守が4期連続で当選している。仲井真氏も自公協力で前回まで2期連続当選したが、保守分裂で公明党が自主投票を決め、革新政党が保守の翁長氏を支援する今回の選挙は、従来の沖縄にない構図だ。
経済対策や離島振興は極めて重要だが、同様に根本的に沖縄の発展を阻害している基地問題も重要だ。誰が今の沖縄のトップリーダーにふさわしいか、しっかり見極めたい。