2月の父の法事で桃林寺の和尚が「おかげで寺も開山400年です。ついては11月ごろに同じ宗派の僧侶で老若男女に人気の作家を招いての講演会を計画しています。芥川賞作家で福島の福聚寺住職・玄侑宗久氏です」▼本土から帰省していた姉夫婦が「ほんとうに玄侑さんが見えるの。お寺は来訪者が多く県外にはめったに出られない方だと聞いていますが」「本当です。必ず案内します」「私たちも来島します」▼先日、和尚がみえて「2月にお話した講演会のチケットで、東京のお姉さん夫婦の分です」代金と引き換えで置いていかれた。姉には「和尚さんは約束を覚えていらしたよ」と連絡しておいた▼玄侑氏は、立場上ためらいつつも人は死後どうなる、成仏できるかなどを主題にして芥川賞を受けたが、如実に言えば個別的な出来事として受け止めるしかないという▼島では結婚式は神式や教会、葬式は仏式で執り行う例も多く、その場合、死後は成仏させてもらえるのかな。男の本懐・墓造りも継承問題では先行き不安だ。医者の宮良長和氏が述べていた一族の深穴式合葬墓構想は、死去順に上から散骨して土に返そうという提案。狭い島ならではの妙案でこれなら跡継ぎがなくても安心して逝ける▼玄侑氏の講演会は8日市民会館。「牛を桃林の野に放つ」(仲間清隆)
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