9月定例石垣市議会(知念辰憲議長)は21日、本会議を開き、尖閣列島戦時遭難事件で犠牲になった人たちの遺骨収集の実現を求める要請決議など、議員提出議案7件を可決した。国道の不点灯照明の解消を要求する要請決議、農水産物の本島出荷に県補助事業の農林水産物流通条件不利性解消事業の適用を求める要請決議と併せ、国や県に議員6人を派遣して要請する。
遺骨収集に関する要請決議は伊良皆高信氏が提案。上陸の許可や慰霊祭の援助、調査に基づく記録集の作成、資料館を建設する慰謝事業を求める内容で、与党の賛成多数で可決された。
質疑で伊良皆氏は「組織としての遺族会には話していないが、遺族は高齢化しており、今なら行けると遺骨収集を求める遺族もいる。国が戦後処理の問題として遺骨収集を認めるべきだ」と訴えた。
野党側は質疑や討論で「趣旨には賛同するが、今の状況では現実的ではない。名ばかりの決議になりかねない」(長浜信夫氏)、「遺族会に先走って決議するのは、政治的意図があると思える」(前津究氏)などと反対した。
不点灯照明の解消を要求する要請決議は箕底用一氏、農林水産物流通条件不利性解消事業に関する要請決議は砥板芳行氏の提案。平良秀之氏が提出した「危険ドラッグ」の根絶に向けた総合対策の強化を求める意見書も可決された。
このほか新庁舎建設、公共工事発注に関する二つの調査特別委員会の設置も認めた。いずれも伊良皆氏の提案。委員長には新庁舎―に伊良皆氏、公共―に今村重治氏を互選した。
【尖閣列島戦時遭難事件】1945年7月3日、台湾に向かっていた疎開船2隻が米軍機の機銃掃射などを受けた遭難事件。1隻が炎上して沈没。1隻はエンジンが破損して航行不能となり、魚釣島に漂着。銃撃されたり、溺れたりして多くの乗船者が犠牲になったほか、漂着先の魚釣島で餓死する人もいた。尖閣列島戦時遭難死没者慰霊之碑には80人の名前が刻まれている。