石垣島と西表島の間に東西約30㌔、南北約20㌔に広がる国内最大のサンゴ礁海域「石西礁湖」は、102地点の平均サンゴ被度に回復傾向がみられることが、2013年度までの環境省の調査で分かった。礁湖内は、オニヒトデの発生や白化現象などにより、被害を受けては回復することを繰り返している。オニヒトデに加え白化による被害を受けた07年度以降、徐々に回復しているが、14年調査の結果(中間報告)では回復の度合いが悪い海域もあることから、調査を担っている研究機関の担当者は「もう少し解析しなければならない」と慎重な見方を示している。
石西礁湖自然再生協議会学術調査ワーキンググループ(座長・照屋和久水産総合研究センター西海区水産研究所亜熱帯研究センター長)の2014年度第1回会議が17日夜、環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターで開かれ、環境省の各種事業が報告された。
同省はモニタリング調査のほか、サンゴ修復(移植)事業なども行っており、05年度から13年度までに4039平方㍍でサンゴを移植した。採苗率も5・7%から30・1%に向上している。
これについて会議に出席した研究者から「事業の目的はサンゴの再生。移植の面積はわずかで、回復が移植によるものかどうかは分からない。もっと有効な手はないか。総括して今後どうやっていくか考えなければならない」との指摘もあった。
協議会の土屋誠会長(琉球大学理学部名誉教授)は「これまで多くの議論と活動が行われ、膨大な量の報告書が存在する。これによって明らかになったことは何か。サンゴ礁再生のために今後すべきことは何か。調査結果を総合的に考察し、再生事業に生かす必要がある」と強調した。
八重山漁協の資源管理の取り組みを紹介した県漁協青壮年部連絡協議会長の與儀正さんは「私たちの取り組みだけでは沿岸魚の資源は回復しない。健全なサンゴ礁がなければ、資源は回復しない」と訴えた。