【波照間】竹富町立波照間歯科診療所の開所式が14日午後、波照間小中学校西側の元診療所跡地に建設された同所で行われた。町が県の基金を活用し、県の巡回診療制度廃止に伴って整備したもので、西表西部歯科診療所を運営している医療法人社団桜和会の大畠高広歯科医師が西表西部と兼任する形で波照間の歯科診療を担う。診療所には2台の診療台とエックス線撮影機器も整備されている。15日から診療を開始し、月に5日間のペースで業務を行う。
診療所は鉄筋コンクリート造り赤瓦平屋建て。敷地面積は約557平方㍍、延べ床面積は約120平方㍍。総事業費は7900万円。
波照間では1961年から県の巡回歯科診療が毎年実施されてきたが、器具の経年劣化と診療スタッフの確保が難しくなったことで2011年に巡回歯科制度が廃止され、町が県地域医療再生特例基金を活用して同施設を整備した。
開所式ではテープカットのあと、川満栄長町長が「毎月1週間のペースでスタートするが、歯科医師に常駐してもらい、週5回の診療を視野に取り組んでいきたい」とあいさつ。東迎一博波照間公民館長も「長年、歯の治療のために波照間から石垣島に渡り、治療を受けてきた住民の苦労を考えると診療所の開設は感無量だ。診療所が住民に愛され、住民の健康増進につながることを願っている」と話した。
施設見学をした波照間婦人会の西里恵美会長は「歯の治療は一度では済まないので何度も石垣島に通わなければならず、船が欠航するたびに予約を変更するなど経済的にも時間的にも大変だった。これからは島で治療を受けることができる」と喜んだ。