12月13日、経産省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が「原発再稼働を推進する」という政府のエネルギー基本計画案を了承。電力安定供給という錦の御旗をかざしての計画案である▼福島原発であれだけの事故が発生し、あれだけの人々が被災し、そしていまだに確たる事故収拾のめどがないという現状を目の辺りにしての決定だから驚く▼産業の基盤となる重要な電源などと言っているが、われわれ一般人には「何かがおかしい」としか感じられない。政府と産業界は、ここで日本国の将来について徹底的に検討し直す重大な機会を逃しているのではないか▼放射性廃棄物は原理的にその放射能をなくすことはできず、どこか放射能が決して漏れることのない場所で何万年単位で安全管理しなければならない危険極まりないものだ▼フィンランドやスウェーデンは強固な岩盤の地下深くにそれを集積し厳重に管理するというが、その何万年の間に岩盤を揺るがす自然変動が起こるかも知れず、ましてや地震国日本に安全な最終処分場を見付けることはできない▼そんな実態を隠しつつ、原発再稼働を推進するというのである。なぜそんな危険を冒してまで経済繁栄を追求しなければならないのか。果たしてそれが繁栄なのか。甚だ疑問である。(八重洋一郎)
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