ノンフィクション作家、下嶋哲朗さんの講演会「もういちど『ヨーンの道』‥を」(南山舎・市文庫連絡協議会共催)が1日夕、大浜信泉記念館で開かれ、約70人が来場した。
下嶋さんは37年前、家族とともに川平で1年間生活。「みそばあちゃん」こと宮良幸(さち)さんが、戦争で銃弾を受けた影響で結核になった夫を看病するために、夫に代わって5人の子どもたちを支える一家の大黒柱として「ヨーンの道」を通った体験談を基に、1979年に「ヨーンの道」を出版した。
下嶋さんは講演で「書いた当時は戦争の悲劇を書いたと思ったが、『ヨーンの道』は今日的内容だと思う」と話した。
「他人の体験を自分の体験として知識で補い、膨らませていくこと。受け継ぐ意識で、聞いた話を途絶えずに思い続け、次の人に語ってほしい。何があるか分からない今の時代だからこそ、強風でも折れずにいる草のような、芯が1本通った『勁(つよ)さ』を求めてほしい」と話した。
講演は第1回やいま文化講座として開かれた。