9月29日の9月定例与那国町議会(糸数健一議長)の議会勢力が野党多数となったことを受け、同島への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備に反対している野党側は配備の是非を問う住民投票条例の制定に向けて準備を始めた。今月末か11月上旬にも臨時議会を開き、議員提案する考え。条例案が提案された場合、野党の賛成多数で可決される公算が大きく、住民投票が現実味を帯びてきた。
住民投票条例案は、2012年9月に住民の直接請求を経て議会提案されたが、賛成2、反対3の賛成少数で否決された経緯がある。同条例案は、投票権を中学生以上の住民に与え、町による住民説明会での詳細な情報提供を求めた。
今回、提案を準備している条例案は同様の内容で、野党側は今後、与那国改革会議(崎原正吉議長)と条例案の中身を調整していく方針。
陸自配備をめぐっては、12年の条例案否決後、ことし2月に町による住民説明会が開かれた。配備に反対する住民からは説明会の時間が約1時間45分だったことから、「こんな短い時間では説明が不十分」「納得できるようなものではない」と反発の声が出ていた。
野党の田里千代基氏は「前回の条例案提出時には有権者の約半数にあたる544人分の署名が集められたが、いまだに町民の納得いく説明や十分な話し合いはなく、島は二分されたまま。住民投票を行い、民意をはっきりさせるべきだ」と、住民投票の必要性を強調した。
一方、与党の前西原武三氏は「自衛隊配備に関しては、昨年の町長選の結果で町民の理解を得ており、住民投票は必要ない。今後は配備に伴うインフラ整備を町の活性化にどう生かしていくかが重要な課題」と話し、住民投票条例の制定に反発している。
同島では部隊配備に向けことし4月に起工式を行い、南牧場で敷地造成工事が始まっている。
敷地面積は約26㌶。2階建て庁舎や隊舎、訓練施設、全天候型400㍍トラックのグラウンド、空自レーダーパット1基などの整備が計画されている。
沖縄防衛局によると15年6月末までにすべての敷地造成を完了。造成した場所から施設整備に着手し、16年3月末までに施設建設を終える予定。