竹富町(川満栄長町長)は社会実験として10月1日から、定期航路がない黒島-西表島大原間で1日2往復の航路を運航する。来年3月末まで運航し、島民と観光客のニーズを調べていく。川満町長が推進する西表島大原への町役場移転を見据えたもので、利用者のニーズを把握し、海上交通ネットワークの構築を目指す考え。
九つの有人離島を抱える町は島間の移動に石垣島を経由する必要がある。西表島大原への町役場移転に向けて島間交通における島民の利便性を確保しようと、町は八重山観光フェリー㈱(花城吉治代表取締役社長)の協力を得て、初めて社会実験を行うことになった。
当初は8月中の運航開始を予定していたが許認可の届け出に時間を要し、10月からの実施となった。町商工観光課の東金嶺肇課長は「10月の実績を見ながら長期的な見通しを立て、航路の定期化に向けて利用促進を図っていきたい」と話した。
定期化には利用拡大が必須となっており、「黒島大原間の航路運航を周知していくことで利用者も増えていくのではないか。旅行会社とも連携して商品化し、また地元と一緒になって滞在型観光を促進したい」と述べた。
町では、社会実験で生じる赤字を補てんするため燃料費と人件費を対象に月額約200~230万円の運航補助を実施していく考えで、来年3月末まで総額約1400万円を見込んでいる。
また、航路を運航する八重山観光フェリー㈱の黒島一博取締役営業部長は「観光客の利用も大事だが、島民の皆さんがどれだけ利用するかを注目したい。期間終了後も需要が見込めるのであれば独自運航も視野に入れて検討したい」と述べた。
同航路の運航スケジュールは午前便が大原発9時30分、黒島発10時。午後便が3時50分発、大原4時15分発。90人乗りの高速船を使用し、所要時間は約20分。運賃は大人840円、小人430円。