■学テ県内2位に躍進
2014年度全国学力調査で八重山地区の成績が大幅に改善された。それには石垣市の伸びが背景にある。小学校国語A、B問題で県平均を、算数A問題では全国平均を上回っている。その結果、県内地区別で八重山地区を2位に押し上げている。数値主義に陥っているーとの批判を恐れずにたたえたい。
識者は一喜一憂するべきものではないと言う。だが、単年度のことであるということを差し引いても、長年の懸案事項であるだけに、ここはひとまず喜びたい。そして、次に向けて、横たわる課題を解決していけばいい。客観視することで学力対策からさまざまなことが見えてこよう。
例えば、市長の子育て環境への高い意識、教育長の強いリーダーシップ、市議会の予算等における使命感などが、今回の躍進の根底にある。このことを評価したい。これからもその姿勢を保ち続けなければならない。また、成果をみた学校を大いにたたえねばなるまい。「道半ば」の意識を強く持って励んでほしい。
■学力向上対策における課題
学力対策を批判的にとらえる意見に「授業を削って充てている」「授業がおろそかになり教科書を終えることができない」がある。これが学校の日常であれば、何のための、誰のためのものか分からない。本末転倒である。
学力対策は学校教育の付属的なものではないはずだ。あるいは、学校教育と学力対策は別個に存在するものではない。両者はともに融合し合うものである。
それではなぜ、そういう批判的意見が出るのか。学力向上対策に水を差すようで良としないが、地区間、学校間の数値による競争意識が潜在しているからではないか。それは、調査前の「過去問」の徹底に出ている。これまでの調査問題を反復練習させることで問題慣れさせている。そこには訓練的要素がある。調査のためのドリル学習と言っていいだろう。本来、練習問題はこういうものではない。指導の結果、理解度を試すためにある。
順位付けされ、叱咤(しった)激励されている現状ではおのずとそういうことが起こる。学校を責めることはできない。文科省や教育委員会は、いま一度、学力調査の目的や理念に立ち返らなくてはいけない。毎年50億円も費やして行う学力調査を真に価値あるものにしなければならない。対策の在り方を振り返ってみる必要がある。「学力を県内第何位にする」|このことを治政の約束にすること自体、教育にふさわしくない。付け焼き刃的な学力であってはならない。
■特筆される竹富町
調査の標本数が少なく話題を集めにくいが竹富町の成績は特筆されてよい。小中全科目全国平均を上回っているからだ。中でも活用力、つまり持っている知識を使って解く力を見るB問題がいいということだ。全国平均を大幅に上回っている。これは児童生徒に考える力が培われているということである。獲得した知識を溶かし、応用し、使いこなす力だ。学力の終着駅と言っていい。充実した日々の授業があってかなうものである。順位付けに拘泥する学力対策ではこのことがおろそかになる。