10月26日に宮鳥御嶽で6年ぶりに開かれる石垣字会(池城孝会長)の結願祭に向け、宮良長吉さん(85)と長安さん(45)親子が幻の旗頭とされている「みょうら旗頭」の復元作業を進めている。みょうら旗頭は1915(大正4)年に作られたものの、現存が確認されておらず、石垣字会は99年ぶりに復元して結願祭で奉納することにしている。2人は「このような旗頭があったということを知ってもらい、良い結願祭にしたい」と意気込んでいる。(松井弥恵子記者)
字会によると、みょうら旗頭は、中国や琉球の国王らが出かける際に使用されたとみられる大きな傘をイメージして作られたもので、扇子やちょうちん、風鈴などの飾りがついている。直接見たことのある字民はいないという。
宮良さん親子は8月下旬から復元に着手。「石垣村の旗頭記」に描かれた図面や絵などを基に、長吉さんが図面をわかりやすく書き直し、作業に励んでいる。
傘の骨や芯棒の部分には、ナラガシという木材を使用。図面によると、傘の直径は1㍍70㌢(五尺六寸)で、原寸通りに組み立てている。1915年に作られた時の傘には紙が使用されていたようだが、今回は今後も保存できるよう布を使うことにした。
長吉さんは30代のころから旗頭の制作に携わっており、石垣字会を象徴する「光頭」をはじめ、これまで多くの作品を世に生み出してきた。2008年には27年ぶりに扇子旗頭を新調した経験もある。
そんな長吉さんでもみょうら旗頭の復元は「難しい」という。旗頭の制作時間は通常約1カ月だが、みょうら旗頭には約2カ月と倍の時間がかかる見込みという。
長吉さんは「自分にしかできないと自負している。99年ぶりに復元し、みょうら旗頭に光を当てたい」と力を込め、長安さんは「これまでにも制作を手伝ってきたが、円形の物は初めてで難しいの一言。完成させて良い結願祭にしたい」と話している。