今年は、バナナが大豊作だった。わが家でも島バナナが春先から次々実を着け、庭先から畑の一角までたわわにぶらさがった▼少しずつふくらんでいく様子を観察するのが毎朝の楽しみとなった。ところで、早々ふくらまないのもバナナ。叔父が自分の栽培経験では、完熟までは150日とのたまう。なんと先の長い話▼その間に台風が来たらどうしよう。来ないよう祈った。そんな願いもむなしく7月初旬に台風8号が接近。石垣島は直撃は免れたが、強い風が吹き荒れるとの予報に、ふくらみ不十分な青いままの実を切り取ることにした▼3本の実を収穫、1本は実を付けたばかりなので葉を切りつめ台風に備えることにした。幸い台風はそれて折れずにすんだ▼収穫した島バナナは切り分けてヒモで結わえ、熟度の見立て、食べごろを書きつけて本土の友人知人へ送った。黄色く色づいても手を出すな、黒い斑点が現れ黒ずんできた時が最高の味だと強調しておいたら、中の1人が軒下にぶら下げ、黒ずむまでの一部始終を観察記録し「バナナがこんなに美味だったとは! 来年からはこれまでのパインに代えて島バナナを送ってくれ」と長い感激の手紙をよこした▼8号台風を免れたバナナは葉を失って熟が遅滞、ほかの実にも追い越され、今も縮こまったままだ。(仲間清隆)
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