八重山を代表する叙情歌「とぅばらーま」を競演する2014年度とぅばらーま大会(石垣市主催)が6日午後6時50分から、新栄公園で開かれ、島内外から出場した23人の歌い手たちが情感を込めて熱唱した。審査の結果、比屋根祐さん(36)=登野城=が最優秀賞に輝き、瀬名波恵子さん(54)=新川=と玉津哲郎さん(37)=真栄里=が優秀賞、今村尚貴さん(30)=大川=が努力賞、西原和希君(17)=大浜=が奨励賞に選ばれた。会場には大勢の市民が訪れ、思いのこもった歌声をたんのうした。
大会は、無形の文化遺産「とぅばらーま」を後世に正しく継承し、発展させようと毎年旧暦8月の十三夜の名月の下に開かれている。
今回はテープ審査4人を含む57人が応募。関西代表や予選を通過した17歳から76歳までの幅広い年代の歌い手が、情感豊かに歌い上げた。
審査の合間には、作詞の部の入賞者の表彰が行われ、歌唱の部の歴代最優秀賞者が入賞作品を歌ったほか、特別賞が贈られた大浜中学校の生徒が2曲を披露した。比屋根さんにはとぅばらーま大使の宮良康正さんから「とぅばらーま大使賞」も贈られた。
岡山稔審査委員長は「声の伸びや息継ぎの部分で課題が残る人がいた。自分らしい節回しの研究と、それに合わせた歌詞の選定にも力を入れてほしい」などと講評。
比屋根さんは11年から4年連続で出場し、4回目で見事栄冠を勝ち取った。11年10月に父親の廣さんが亡くなり、昨年までは父親のために歌ってきたが、「今年は自分の気持ちを人に届けたいという思いで歌った」と振り返る。
とぅばらーまは、廣さんの病気が分かった時から教えてもらったと言い、「自分の気持ちを伝えられるようになり、少しは一人前になれたかなと思う」と感慨深げ。今後は「とぅばらーまを世界に広めていく一人として最優秀賞の名に恥じないよう努力していきたい」と抱負を語った。