まだまだ、うだるような暑さが続いているが、はや９月「えっ、今年も３分の２が過ぎたんだ」と、月日の早さにため息が出る▼ソーロンが過ぎ、旧暦８月13夜は「とぅばらーま大会」が新栄公園屋外ステージで催される。１９４７年から続く八重山ならではの催しで目標にしている愛好者も多くレベルはかなり高い▼今回歌唱の部には応募57人の中から予選を勝ち抜いた22人が出場。スマムニィ（方言）の衰退で応募が少なくなっている歌詞の部には１２４点が寄せられ、親子の情愛や島への思い、戦争反対、社会風刺と昨今の世相を盛り込んだ作品も多く審査員をうならせたようだ▼多くの人々の心をとらえる「とぅばらーま」は、もともとは男女が歌を掛け合う歌垣で「恋」を中心とした唄が多く、本来は三線を伴わない、野外で歌われるものだったようだ。自身の思いを即興で唄に乗せるなんて、やいまのむかしぴとぅ（昔人）はすごいと感心する▼〝昔〟〝野（ぬー）〟〝家（やー）〟〝滑稽（ばっかい）〟〝道とぅばらーま〟に〝どぅなん（与那国）とぅばるま〟があり、歌詞も節も異なるからまたすごい▼異常気象や基地問題等々、自然や人の心も荒廃ぎみの世の中だけど、せめて月を眺めるゆとりを持ちたい。できれば輝く月明かりの下で「とぅばらーま」に心癒やされたいと願う（辻本順子）
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