資源管理を目的にした石垣市ヤシガニ保護条例が6月24日に施行されて以降、市水産課(平良守弘課長)は、ヤシガニをメニューとして扱う飲食店にチラシを配布するなどして、仕入れに注意するよう呼びかけている。ヤシガニは解禁期間(9~11月)を除き全面捕獲禁止。同課によると、ヤシガニ料理を提供する飲食店は居酒屋など16店舗。流通先の理解と協力を得ることで条例の効果を高めたい考えだ。
市が昨年10月、14店舗を対象にアンケートを委託したところ、協力した10店舗のうち9店舗が保護条例について「必要と思う」と回答、1店舗が「どちらともいえない」とした。
年間の取扱量は10店舗合計で1578~1608匹となり、同課はアンケートに回答しなかった店舗を含め2000個体弱が利用されていると推測している。
条例化の動きが出た時点で仕入れをストップしたという居酒屋・瑚南(こなみ)の仲里直樹店主(43)は「将来の子どもたちのためにも資源を残してもらいたい。これを商売にしていたら、いくらあっても足りない」と述べ、経営への影響については「ヤシガニがなくても他に出すものはたくさんある」と話した。
条例によると、ヤシガニの捕獲は原則、通年の捕獲が禁止され、9~11月の間のみ保護区域外のオス(胸長40㍉以上~55㍉未満)を捕獲できる。この時期が脂がのってうまみがあるという。
水産課は年内に北部地区で保護区域を設定する予定。保護区が設定されれば、10万円以下の罰則規定が適用される。
一方、他地区から石垣島に持ち込まれるヤシガニについては条例が適用されないことから、平良課長は「今後は八重山圏域の取り組みが課題。竹富町、与那国町にも働きかけたい」と話している。
宮古圏域では多良間村が2010年4月1日、宮古島市が13年1月10日、それぞれ保護条例を施行させている。