竹富町の川満栄長町長が辞職する意思を固めた。自身の口からは進退について言及はないが、町議会に23日付で辞職を届け出る内容の書類を提出しているという▼任期を2年残しての辞職騒動に町民の多くは驚きを隠せない。人あたりが良く、各公民館などからの要請に真摯(しんし)に応えている普段の姿からは、町政運営に対する瑕疵(かし)は想像できなかったことだろう▼6月町議会で賛成多数で町長の「辞職勧告」を可決した野党会派によると、一部公共工事予算の次年度への繰越手続きで、日付の改ざんがあったという▼この件で野党が百条委員会設置をほのめかしたことで、川満町長が国への交付金返還など、町政運営への影響を避けるために辞職を選択した、と推測されている▼行政運営の問題点を指摘し、是正するのは議会のチェック機能として当然の行為。ただ、それが数の暴力であってはならない。町長も政治家としての信念はあろうが、ここまでこじれるまでに調整はできなかったのだろうか。多数野党と町長のいざこざが町民を巻き込む事態に発展することは残念だ▼川満町長の辞職後、新町長が就任するまでの間、総務課長が職務を代行する。町政、住民福祉に影響が及ぶことがないよう、職員一丸となった取り組みが求められよう。(下野宏一)
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