八重山観光がハイシーズンを迎える8月を前に、レンタカー需要が大幅に増加していることを受け、市内のレンタカー業界は今月までに大幅な増車を行っており、夏場のシーズン料金として1台当たりの単価を20〜50%引き上げていることが分かった。業界関係者は、好調な観光需要を背景に「下げ止まりしている料金を引き上げるのはこのタイミング。低価格競争から脱却したい」ともくろむ。一方、需要と供給のバランスが崩れ、レンタカーが利用しづらくなるケースや市街地での交通渋滞、駐車場不足などが懸念され、業界では問題解決の糸口を探っている。(砂川孫優記者)
沖縄総合事務局陸運事務所によると、16日現在、八重山地区では80以上のレンタカー事業所が営業。昨年3月末のレンタカーの登録台数は過去5年間で最高の2084台。今年の登録台数は集計中だが同事務所では「台数は昨年より確実に増加している」とみている。
業界内ではレンタカー需要の動向を「前年に比べて6月は(売り上げ)落ちたが、7〜9月は前年と同じくらいか上回る見通し」と予測している。
八重山地区レンタカー連絡協議会の瀬戸守会長(64)は、利用料金について「観光客が落ち込み、利用客が低迷したことで3年前に『低価格競争』が起き、料金は下げ止まりの状況。各社とも好調な需要を受け、適正料金への改定を見計らっている」と話す。
新空港効果続く
市内レンタカー会社の男性店長(35)は「車は通常100台用意しているが夏休みを前に20台増車。新空港開港効果で、前年から売り上げも20%増えた」という。
料金も「シーズンに合わせて50%引き上げた。好調な観光がいつまで続くか分からない。価格を引き上げるのはこのタイミングしかない」と語った。
別店舗の30代の男性店長は「夏休みは親子連れがターゲット。車種を厳選して35台増車した。料金は日ごとに価格を変動させて対応しているが8月は予約でいっぱい。さらに車を増やしたい」と好調な口ぶり。
課題山積み
一方、業界からはレンタカー利用客が増えることで市街地の駐車場不足や交通渋滞への懸念や、利用客の交通マナーの悪化を指摘する声もあり、「車が増えることは事故の可能性を高める。何らかの対策が必要」との意見も出ている。
カーナビゲーションのなかには、空港の位置を旧空港で表示するケースもあり、設備の更新も課題になっている。新港地区での港湾整備が進むと、外国人観光客の利用が増加する可能性もある。
瀬戸会長は「レンタカーは5000台必要だが、従業員の確保と古いカーナビの一新が最優先。課題は山積みなので一つ一つ解消したい」と話している。