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「子どもの貧困」支援拡充を 

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■小中で700人余に援助

 貧困の連鎖につながる子どもの貧困対策が政府の大きな政策課題になっているが、石垣市でも給食費や学用品、制服代など教育費の支払いに困っている世帯にその費用の一部を援助する就学援助が急増している。石垣市教育委員会によると、2006年度は小学校で全児童の7・7%、265人、中学校で全生徒の7・1%、131人だった就学援助が、本年度は小学校で14・8%、483人、中学校で14・6%、239人に8年間で1・8倍に急増した。

 援助は別途に支援を受けている生活保護世帯から漏れた同世帯に準ずる要保護世帯などが対象で、年収が片親の2人家庭は135万円、同3人が190万円、両親と子ども2人の4人家庭が225万円以下となっている。

 学用品等の就学援助は沖縄県全体が12年度は19%と全国9位に位置するほど高い。その沖縄県内41市町村の中にあって八重山は、竹富町が10%弱で下位だが、与那国が26%台で県内最も高く、石垣市も14位と上位にある。

 石垣市の就学援助が増えたのは、市の広報効果も大きいが、やはり離婚や非正規就業などで生活が厳しい世帯が大幅に増えたことが要因だろう。

 

■給付型奨学金や無料塾

 子どもの貧困に関しては国も今年1月、対策推進法を制定し、返済義務のない給付型奨学金の創設など教育、生活、保護者の就労、経済支援の4分野を重点に対策に乗り出した。

 沖縄は全国と比較して子育て世帯の収入が低い非正規就業者が多いことなどから、親の世代の貧困が子どもの教育格差となり、さらに事態は深刻。

 その貧困の連鎖を断ち切るため県は独自に生活保護世帯や要保護世帯を対象に親には就労支援、子どもには無料塾などの学習支援の子育て総合支援モデル事業などを実施しているが、今年から新たに大学進学を希望する高校3年生を対象に無料塾も開設する。

 このほかに県は県外の大学に進学する学生を支援するため、かつての“国費制度”の県版の給付型奨学金の創設を検討している。同制度を県外だけでなく、八重山などの離島を対象に県内大学進学にも拡充してほしい。

 

■人材育成は最大の地域振興策

 子どもの貧困に関しては、うるま市が母子家庭の住宅支援をしたり、渡名喜村は子どもの医療費を18歳まで拡大したり、各自治体が独自にあの手この手。八重山3市町も現在1学年のみを対象にした制服代など新入学用品費などの就学援助を2、3年生や部活費にも拡充するなど乳幼児から大学に至るまでより細かな支援を望みたい。

 さらに石垣市母子寡婦福祉会から要望がある無料学習塾は、幸い市も前向きだが、人材育成は各自治体にとって最大の振興策であり、教育費は限りなく無償でありたい。従って県が現在本島で開設しているモデル事業の無料塾は八重山でも開設を求めるべきだ。

 生まれ育った環境に左右されず、世代を超えて貧困が連鎖しないようにするために、各自治体は総合的な相談窓口となる「こども110番」を設置するなど教育、生活など各面からきめ細かに支援があるべきだ。


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