去る市長選の投票結果にも表れたように60代以上の高齢者は、貧富の差を拡大する格差社会や「戦争しない国」から「戦争する国」に国のありようが180度転換する今の日本と安倍政治に非常な不安と危機感を感じている▼しかしその社会を生きる若者たちに反発や怒りが見えず、懸念を感じていた「慰霊の日」の23日、県紙に東京で集団的自衛権に反対して「憲法守れ、若者800人がデモ」の見出しが躍り、少し安堵(あんど)した▼お隣の台湾で今年3月、学生約300人による国会占拠事件があった。新たな中台協定で「台湾経済が中国の巨大資本に飲み込まれる」と協定阻止を求めて国会を占拠した学生たちを市民らも支持し、大きな政治問題になった▼日本も以前は安保や大学民主化、ベトナム反戦、賃上げなどに沖縄は復帰闘争が加わり、各種の学生運動や大衆運動がひん発した▼それが今は非正規雇用で虐げられても、国が「戦争=徴兵制」という危うい方向に向かっても肝心の若者たちの反応は鈍く、かつての学生運動や労働運動、大衆運動はすっかり影をひそめている▼若者たちが望む経済はよくならないのに、戦争の脅威は確実に増している。孫やひ孫たちの時代をかつての戦世(いくさユー)にしたくない。じいさん、ばあさんたちの切なる願いだ。(上地義男)
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