県が石垣市の協力を得て屋良部半島の市有地で計画している不発弾保管庫の建設事業は、近隣の崎枝住民の同意が得られず、暗礁に乗り上げている。市・県は「丁寧に説明していきたい」としているが、崎枝公民館(新里武夫館長)は25日、「住民の気持ち、生活をこれ以上混乱させないよう白紙撤回を」と5月13日に続いて計画を白紙に戻すよう強く求めた。
■着工待つだけ
不発弾保管庫の建設は、市が2007年度の県・市町村行政連絡会議から毎年、要望していたもの。市街地北方の市施設内にある現一時保管庫は、金網で囲っただけの簡易な施設で、火薬取締法の保安基準を満たしていないため、市は「厳重かつ安全に管理できる施設を建設してもらいたい」と訴えてきた。
県は国と調整した結果、13年度事業として約4625万円(国補助9割)を確保して事業化。候補地については市と協力して屋良部半島の市有地約1200平方㍍を選定、県は「市が役員に説明し、異議がなかったと聞いた」として建設事業を具体化させた。現在、測量業務と設計業務を終えており、後は着工を待つだけとなっている。
■“同意”に抗議
しかし、住民側は「報道があるまで知らなかった」と計画に猛反発。市によると、13年10月、公民館長に計画概要を説明し役員会で説明したいと打診したが、公民館長から「近々役員会があるので私が説明する」との報告を受け、後日、確認したところ、異議がなかったという。
これについては新里館長も「市にはいいんじゃないかと話した。独断みたいな感じになってしまった」と認め、県が13年12月17日に開いた説明会の冒頭で住民に陳謝したが、住民側は同意をめぐる市側の行政手続きに「住民を無視した態度だ」と抗議、白紙撤回を要求している。
これに対し、中山義隆市長は25日、「建設場所を決めるに当たってはいくつかの市有地から決めた。白紙に戻して新たな場所を探すのは難しい」として引き続き県と協力して説明し、理解を求めていく考えを示した。
同事業はすでに13年度から14年度にずれ込んだため、15年度に再度繰り越すことは困難という。このまま足踏み状態が続けば、補助事業での保管庫建設ができなくなる可能性もある。