【那覇】県議会文教厚生委員会(末松文信委員長)は7日午後、県立八重山病院の組織体制に関する委員会を開いた。県病院事業局との関係性で八重山病院幹部が辞職することを受け、委員から「コミュニケーション不足」「体質改善を」など同事業局への批判が相次いだ。
同局の我那覇仁局長は「県民の皆さんに不安と心配をかけたことをおわびする」と冒頭述べ、「看護師と臨床技師の体制の強化を図る。地域の中核病院として県民の命を守っていけるよう体制整備に取り組む」と説明した。辞表を提出した院長には、数回慰留したという。
県の説明によると昨年8月、将来的な透析患者の増加を見込み八病院から看護師5人、臨床工学士2人の計7人増員要望があった。ただ、県は23年度は7~8人の患者増と考え、看護師1人増員で対応できると判断。当初の7人増員希望は、23年度以降を見越した要望と理解した。
県はその後、八病院以外の民間2院で4人の看護師が退職する旨を確認。透析患者の受け入れが困難になるとして、八病院に看護師2人と臨床工学士1人の増員を決定。人工透析の看護師が欠員となった民間医院では、新聞報道をみて2人の応募があり看護師長が指導中。別の病院では2人退職したが、グループ企業内で調整中。
比嘉京子委員は「透析の問題は表面的なものだ。現場の声が訴えても響かない。体質改善をしない限り再発防止は免れない」と密なヒアリングを求めた。
また、23年度の増員要望は県立6病院から208人あるが、事業局の対応は10人増員にとどまる。これを受け喜友名智子委員は「他の病院から辞表が出たらどうするのか。せめて半分は増やさないと、病院長の辞職に応えることにはならない」と改善を求めた。
県保健医療部によると人口10万人当たりの充足率は県全体で医師257・2人、看護師1149人だが、八重山は各189・7人と839・4人と差があり、医療従事者の配置に隔たりがある。
八病院と石垣市で対立する恒久ヘリポートの問題も浮上した。直接自治体と対応する部署が防災危機管理課とのことから、新垣淑豊委員は同課担当者を招き意見交換する必要性を述べた。
県は9日、県八重山合同庁舎で第1回八重山地区医療提供体制協議会を開き、医療関係者に今後の方針を示す。