新型コロナウイルスの第8波の流行が全国的に続く中、岸田文雄首相は20日、新型コロナの感染症法上の位置づけを現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」へ引き下げると発表した。今年春の移行が検討されている、という▼合わせてマスク着用の考え方や感染対策の在り方、感染者や濃厚接触者の外出自粛についても見直す方針だという。実施されれば、これまで制限されていた住民生活がコロナ前の日常に戻ることになる▼だが、5類に移行することで、行政が就業制限や入院勧告などの措置が取れなくなる。現在無料のワクチン接種や入院・検査の公費負担が無くなり、保険適用外の医療費が自己負担となる可能性もある▼現在、流行するオミクロン株は、弱毒化する反面、感染力は高まっているとされる。医療現場の負担軽減が期待される反面、医療費負担が増えることで、受検者が減り、感染者の増加を懸念する声もある▼マスクは「原則、不要」で検討されている。ただ、3年間のマスク生活に慣れ、外すのに抵抗がある人や感染拡大を心配する人もおり、マスクを外すかどうか対応が割れそうだ▼感染拡大面で不安が残る新型コロナの5類移行だが、コロナ禍で大きなダメージを受けた経済回復の起爆剤としての期待は大きい。(下野宏一)
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