全国の自然再生協議会関係者が一同に集い、現地視察や情報交換を行う「2022年度自然再生協議会全国会議」(環境省主催)が24日、県内で初めて石垣市で開催された。会議では石西礁湖自然再生協議会(会長・土屋誠琉球大学名誉教授)の各部会がそれぞれ実施している環境保全活動を紹介。サンゴ種苗の生産やモニタリング調査など自然再生に向けた取り組みを全国に発信した。
全国会議は各協議会の連携促進、効率的な運営手法の情報共有などを目的に毎年開催されているもの。3年ぶりの対面方式となった今回は全国19協議会の代表ら約50人が参加した。
午前の部は国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターで行われ、八重山漁協サンゴ種苗生産部会(砂川政彦会長・9人)がサンゴの完全養殖について解説。水槽に過去5年分の養殖サンゴを並べて成長過程を比較し、採卵、着床、生育の様子などを動画で説明した。
現在、崎枝沖で約2万個の着床具を用いて有性生殖での生産に取り組んでいるといい、同部会の名嘉貴也さんは「さまざまな技術を学び生存率の高い、効率の良い生産を目指す。たくさん種苗を作り、漁場回復を図りたい」と述べた。
竹富町役場大会議室で行われた午後の部では、石西礁湖自然協議会に所属する各組織が取り組み事例を発表。環境省沖縄奄美自然環境事務所は昨年夏に発生したサンゴの大規模白化について、死亡率が全体で17・7%、白化率も92・8%となった調査結果を報告した。
このほかサンゴ学習団体わくわくサンゴ石垣島(大堀則子代表)は市内小中学校で実践している環境学習について、石垣港湾事務所は竹富南航路整備時のサンゴ移設や濁水対策などを紹介。石垣市と竹富町、NPO法人石西礁湖サンゴ礁基金もそれぞれ発表した。
意見交換では3グループに分かれ、▽若い参加者を増やすための工夫▽さまざまな立場の団体が参入するメリット▽一般に向けた自然体験活動の実施の工夫―の3点について協議。課題解決に向け「大学ボランティアサークルの活用やインターンシップ受け入れ」「企業をターゲットにした活動」「年齢別に合わせたPR実施」など考えを全体共有した。