高齢化が進む中、高齢ドライバーの交通事故の増加が社会問題となり、運転免許証の返納なども議論されている。だが、交通網が発達した都会とは違い、地方では生活の足として車を運転する高齢者も多く、免許の返納が進まない現状がある▼高齢者の移動手段として最近見かけるのがシニアカー。いすに四つの車輪を取り付けたような作りで、電動。速度も最高6㌔と人が早歩きする程度で、高齢者でも簡単な操作で運転できるのが特徴だ▼筆者も先日、90歳になる父親用にシニアカーを購入。納入された車両を販売先の店舗から自宅まで約6㌔を高齢者目線で運転した▼走行は歩道を基本に歩道がない道路は車道の左端を走行。実際に乗って見て感じたのは、そこそこパワーがあり、少々の段差は苦も無く乗り越える。左右のレバーを押せば進み、離せばブレーキがかかり、操作は簡単だ▼ただ、歩道は全体的に幅が狭く、通れない場所や傾斜で走行が不安定になることも。車道では、往来する一般車両との速度差から、後ろから抜かれることに怖さを感じた。さらに道路の横断では速度が遅いため、左右の車との車間距離に注意が必要だ▼高齢者は足腰の老化とともに移動範囲が狭まり、外出する回数も減る。少しでもシニアカーが外出の手助けとなればと思う。(下野宏一)
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