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「アリの一穴」で歯止めなく

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■限定的容認へ

 

 何が何でもと国民の反対も無視してがむしゃらに「戦争する国」に暴走する安倍首相を止められないこの国は一体どうなっているのだろう。一強多弱で野党の力が消えうせ、自民党も「みんな首相のポチになっている」と古賀誠元幹事長に揶揄(やゆ)されるように党内の自浄力は弱まり、集団的自衛権行使容認の歯止めは、ある意味で平和の党の公明党頼みだった。

 その公明党までも最近、限定的ながら行使を認める方向に向かっておかしくなっているのだから、この国は専守防衛の「戦争をしない国」からいよいよ人のけんかも買って出るような「戦争する国」になりそうな状況だ。

 かつて1990年8月にイラクがクウェートに侵攻した湾岸戦争の際、当時の海部俊樹首相は同盟国のブッシュ米大統領から自衛隊の多国籍軍参加を強く求められたが、憲法9条を理由に断ったという。それはひとたび自衛隊を海外派兵すると「アリの一穴」で歯止めがきかず、次々派兵することになるという後藤田正晴官房長官の言葉があったからだという。

 公明党も限定的とはいえ、一度行使を容認すれば、それが歯止めの効かない「アリの一穴」になることは明らかだし、限定的も認めるべきでない。

 

■反対署名の受け取りも拒否

 

 しかしなぜ安倍首相は自国を守る専守防衛だけでなく、あえて他国のために自衛隊をこうも急いで戦争させたがるのだろうか。戦地へゆくということはそれは決して戦争ごっこでなく、現実に自衛隊員らが命を失うだけでなく相手国の恨みを買い、日本が攻撃を受け、特に基地がある沖縄が真っ先に攻撃を受けかねないということだ。

 首相らはよく中国や北朝鮮の脅威を強調するが、むしろわが国の脅威は中国などを挑発し、隣国と緊張関係をつくりだしている積極的戦争主義の好戦的な首相らにあるというべきだろう。

 しかもやり方は国民の審判を仰ぐ憲法改正でなく、憲法に対するクーデターといわれるように、一内閣が憲法の解釈やこれまでの政府見解を次々都合のいいように変える強引なものだ。

 こうした首相らの暴走に対し、作家の大江健三郎氏ら憲法学者や作家らで組織する戦争させない1000人委員会が12日、東京の日比谷公園で集団的自衛権行使容認に反対する3000人集会を開き、約175万人の署名を衆参両院に提出したが、首相側は受け取りを拒否したという。これではまるで独裁者というしかない。そういう強引な手法はいずれしっぺ返しがあるだろう。

 

■平和主義を貫け

 

 その首相に押し切られ、さらに党として連立離脱を避けるため、容認に反対だった公明党も与党協議で「限定的容認」にかじを切り出した。しかし党内は依然行使容認に慎重意見が根強いようだし、自民に屈するべきでない。

 自民党でも岐阜県連が首相らの強硬姿勢を懸念し、県内各市町村に慎重検討を求める意見書採択を要請したという。首相らの暴走にブレーキをかける動きをさらに広げるためにも、「平和の党」の公明党は平和主義を貫くべきだ。連立に踏みとどまるために党是に反する安易な妥協をするべきでない。


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