戦争の放棄を定めた憲法第9条に、ノーベル平和賞を受賞させようという活動が注目を集めている▼神奈川県座間市に住む主婦の鷹巣直美さん(37)らが中心となって、ノルウェーのノーベル賞委員会に提出した推薦状が今年4月、正式に受理されたからだ▼活動の始まりは「9条の素晴らしさに光を与えることはできないか」との思いからだった。高校卒業後に留学先のオーストラリアでスーダン難民の男性と出会った。そこで小学生のときに内戦で両親を殺された話しを聞き、戦争の悲惨さや9条の大切さを実感したという▼しかし、ノーベル平和賞は個人か団体に贈られるもので憲法は対象でなかった。1昨年、欧州連合(EU)が「地域の統合により、国家の和解と平和を進めた」として平和賞に選ばれた。鷹巣さんらは「戦後70年近くも日本に戦争をさせなかった。9条を長年にわたり保持し続けた日本国民にも、受賞の資格がある」と訴えている▼実行委を立ち上げ、インターネットや街頭で集めた署名は8万人(8日時点)を超えた。活動が広がりをみせる一方で、ネット上では賛否両論も渦巻いている▼日本は先の大戦の反省から戦後、一貫して平和国家の道を歩んできた。安倍政権で改憲論議が進む中、憲法9条は世界的にどう評価されるか。10月に結果が発表される。(鬚川修)
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