旧暦5月の満月の大潮の日とされるオカガニの産卵が八重山の各海岸で始まっている。大浜海岸では13日午後8時30分すぎ、腹部に卵を抱いたオカガニが波打ち際に姿をみせ、海に向かって全身を震わせ放卵した。
オカガニは普段、内陸部に生息。産卵のため旧暦5月の満月の大潮の日に海岸に集まる。竹富町黒島では、集団で移動する光景も見られるという。
オカガニの放卵の様子をカメラに収めるため、11日から同海岸に通った。
日が沈むと、海岸近くの雑木林からオカガニが次々と姿を現す。だが、浜辺までは来るが海に入る気配はない。
翌12日夜、同海岸の浜辺に無数のオカガニの姿が。海に入るのもいるが、放卵の様子はなかった。
13日は満月。しかし、あいにくの雨模様で、午後8時の満潮を過ぎても海岸にオカガニの姿はない。撮影を半ばあきらめながらも懐中電灯を片手にレインコートを羽織りながら海岸を何度も往復。午後8時30分すぎ、降り続く雨がやむと、1匹のオカガニが海へ向かった。
ゆっくりと海に入ると全身を大きく震わせ、腹に抱えた無数の卵を海に放った。
気が付くと、周囲で防潮林や岩陰から姿を現したオカガニの放卵が始まっていた。
月がなくても、ちゃんと満月の大潮に産卵するオカガニの本能に神秘的なものを感じた夜だった。